HCアセットマネジメント株式会社5周年記念 Symposium Vol.003 2008 Winter マネジメント(経営)としてのアセットマネジメント(資産運用)

我国で機関投資家といえば、公的資金を除外すると、企業年金、地域金融機関、系統金融機関、保険会社に限られます。今後は、財団なども機関投資家として成長してくるのかもしれません。これらの機関投資家は、それぞれの資金性格、それに応じたリスク管理の方法によって、類型ごとに異なる資産運用のあり方を歴史的に形成してきています。

一方で、企業年金の資産運用という一般的・抽象的なものは、あり得ません。各企業年金の資産運用には、その後ろにある母体企業の財務政策の個性が強く現れるからです。同じことは、地域金融機関の証券運用についてもいえます。基本的に全く同一の規制環境の下で銀行業を営む地方銀行とはいえ、各行の経営環境と経営方針に明確な違いがある以上、資産運用にも明確な違いが出てきます。

類型内の個性化が進むと、類型と類型の差よりも、類型内の差のほうが大きくなり得ます。例えば、企業年金の領域で退職給付会計上の債務を意識した運用が定着してくると、ある企業の年金運用のあり方は、ある生命保険会社の運用のあり方に近似しているということもあるのです。

機関投資家の類型ごとに異なる資産運用があって、各類型の中に経営の個性によって異なる資産運用があると、要は、投資家の数だけ、異なる運用の哲学と方法があるとすらいえます。企業年金であれ、金融機関であれ、経営方針と資産運用方針の連動性が強くなるからこそ、資産運用の多様化が進むのです。

多様な資産運用の考え方が現れてくればくるほど、経営の個性が前面に出でてくればくるほど、資産運用そのものに共通する基本的要素を改めて明確にしつつ、多様な経営方針を、その個性と制約条件の枠の中で、資産運用方針に具体化していく技術が重要になってきます。例えば、運用組織、意思決定の仕組み、権限の分掌、リスク管理のツールなどの整備です。

企業年金の資産運用が、独自の年金資産運用の枠組みを主張しすぎることによって、母体企業の経営方針に反してしまったり、あるいは、地方銀行等の証券運用が銀行経営から切り離された余資運用の枠組みにとどまっている限り、マネジメント(経営)としてのアセットマネジメント(資産運用)は、成り立ち得ないのです。マネジメント抜きのアセットマネジメントはあり得ません。同時に、マネジメントの対象と方法を明確にしない限り、アセットマネジメントは成り立ちません。

アセットマネジメントの原点に立ち返り、マネジメントの対象と方法の基本を明確にすると同時に、様々に異なるマネジメントのモデルを比較検討することによって、企業年金、金融機関の資産運用の新しいあり方を考え直してみようと思います。

HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
森本紀行

シンポジウム構成

日時
2008年12月2日(火) 13時20分~16時50分
会場
大手町サンケイプラザ 4Fホール
東京都千代田区大手町1-7-2 (地図
TEL:03-3273-2257~9(直通)
参加費
無料
※定員になり次第、募集は締め切らせて頂きます
主催
HCアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第430号
社団法人日本証券投資顧問業協会加入
13:00-13:20
受付
13:20-14:00
「銀行経営と銀行の資産運用」
能見公一氏
(一橋大学大学院教授 前あおぞら銀行会長)
14:00-14:40
「米国財団の資産運用モデル」
ダニエル・オキモト氏
(スタンフォード大学政治学部名誉教授/スターリング・スターモス・キャピタル・マネジメント)
14:40-15:10
「企業経営と企業年金の資産運用」
森本紀行
(HCアセットマネジメント)
15:10-15:25
コーヒーブレイク
15:25-16:50
パネルディスカッション「経営戦略と運用戦略・組織」
能見公一氏
(一橋大学大学院教授 前あおぞら銀行会長)
濱口大輔氏
(企業年金連合会 年金運用部長)
丹羽宏子氏
(三菱商事企業年金基金 自家運用執行理事)
西村寿夫氏
(三井生命保険株式会社 運用企画部)
司会:森本紀行
(HCアセットマネジメント)

※本セミナーは経営としての資産運用について考察するものであり、セミナーのテーマに関連する特定の金融商品等の勧誘を行うものではありません。

講師・パネリスト 略歴

能見公一 一橋大学大学院 教授(前あおぞら銀行会長)

1969年東京大学農学部農業経済学科卒業、同年農林中央金庫入庫。秋田支店長、ニューヨーク支店長、資金証券部長、債券投資部長、専務理事(総合企画、財務、運用部門総括)を歴任。農林中金全共連アセットマネジメント株式会社代表取締役社長を経た後、あおぞら銀行へ。2007年2月より2008年5月まで、あおぞら銀行代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)。2008年7月より現職。

ダニエル・オキモト スタンフォード大学政治学部名誉教授及び、アジア太平洋研究センター(APARC)名誉所長スターリング・スターモス・キャピタル・マネジメントのパートナー兼同社グローバル・インスティテュート会長

1965年プリンストン大学歴史学部卒業、ハーバード大学修士課程修了(東アジア研究)。ランド・コーポレーションのコンサルタントを経て、1977年ミシガン大学政治学部にてPh.D.取得。その後、スタンフォード大学政治学部教授に就任。様々な教職に従事する。2005年より現職。2007年旭日中綬章受章。

濱口大輔 企業年金連合会 年金運用部長

1976年京都大学工学部卒業。同年三菱商事入社。米国マサチューセッツ工科大学にてMBA取得。その後三菱商事資本市場部を経て1990年より同社英国金融子会社へ出向、様々な運用業務に携わる。1996年三菱商事の英国金融子会社であるMCF Financial Services 社社長に就任。1999年帰国、三菱商事厚生年金基金の運用執行理事、2000年同基金常務理事。2005年厚生年金基金連合会(現企業年金連合会)の年金運用部長に就任、現在に至る。

丹羽宏子 三菱商事企業年金基金 自家運用執行理事(CIO)

1989年東京大学経済学部卒業、同年、三菱商事株式会社入社。同社資本市場事業部、投資金融事業本部を経た後、1998年英国子会社(Mitsubishi Corporation Finance PLC)のポートフォリオマネジャーに従事。1999年海外ファンド運用会社にてポートフォリオマネージャーとして従事。2003年より、三菱商事企業年金基金へ。2004年同基金理事、2005年より現職。

西村寿夫 三井生命保険株式会社 運用企画部 投資戦略グループ・グループマネージャー

1990年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。三井生命保険相互会社入社後、2000年ミシガン大学三井生命金融研究所客員研究員。ミシガン大学金融工学修士課程(MSFE)修了。三井生命保険相互会社運用企画グループファンドマネージャーを経て、現職。

HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 森本紀行

東京大学文学部哲学科卒業。ファンドマネジャーとして三井生命の 年金資産運用業務を経験したのち、1990年1月ワイアット株式会社(現ワトソンワイアット株式会社)に入社し、日本初の事業として、企業年金基金等の機関投資家向け投資コンサルティング事業を立ち上げる。年金資産運用の自由化の中で、新しい投資のアイディアを次々に導入して、業容を拡大する。2002年11月、HCアセットマネジメントを設立、全世界の投資のタレントを発掘して運用委託するという、全く新しいタイプの資産運用事業を始める。